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第7回ATK中国地区勉強会

カテゴリー:記録 / タグ:中国地区,勉強会,岡山,意識的調整,書籍,研究

『自己の使い方』付録-リトルスクール

意識的調整・ワークスクールのRieさん担当で『自己の使い方』にある「リトルスクール」について発表がありました。付録の基になるエピソードはアイリーン=タスカー女史の『Connecting Links』にあります。彼女は1924年に開校されたリトルスクールの校長で、1931年にFM氏が監督する教師養成コースが開始される前に、氏によって教師・アシスタントとして認められた方です。

Evans女史の『Frederick Matthias Alexander』という伝記によると「インドから自宅に送還された少年」はタスカー女史の甥(p.175)のようです。タスカー女史によるとFM氏に「彼[少年]が私の保護下にあるので私が[アレクサンダー]氏のテクニークのレッスンと学校の全授業とを繋げられないでしょうか」と相談したら、「これこそまさに我々の欲する機会になるかもしれない」とお返事をもらったようです(Connecting Links, p.20)。『人類の最高遺産』を見ると第一部六章の最後に「私は今のままで全く満足しています」と言う方へ「子ども達はどうするのか」と返しています(人類の最高遺産, p.122)。そしてその次の章の題に「民族文化と子どもの訓練」と付けられているところを見ると、FM氏が子どもの教育に対して大きな関心を持っていたとわかります。

リトルスクールと教師養成コースとの関係性について。タスカー女史はFM氏の言葉を思い出しています。FM氏は「これで我々は教師養成コースを始められる。」(Connecting Links, p.6)と述べたようです。教師養成コース(1931年開校)の練習生は経験を十分に積んだ後、リトルスクールの子ども達を教える機会を得ていました。リトルスクールはアシュリープレイス16番地で始まり、ペンヒルに移り、戦時中にはアメリカへ移動して継続されました。しかし1943年中頃に英国へFM氏が戻ったとき、戦争による建物へのダメージもあったためにリトルスクールは再開されませんでした。

リトルスクールの様子はタスカー女史の『Connecting Links』やDVD『F. M. Alexander 1949-50』などで知ることができます。これらの他にも当時を思い出したインタビューが記録されたものなどもあります。それから教師養成コースの様子はルーリー=ウェストフェルト女史の『The Man and his Work』にあります。彼女は第一期の練習生(当時はpupilと区別してstudentと呼ばれ、現在はtrainee)で、読むと当時のFM氏の言動や人柄がわかります。最初の教師養成訓練の練習生達はFM氏の言動で困惑させられることが多かったようです。ちなみに1918年の改訂版『人類の最高遺産』を始めFM氏の著作はタスカー女史やウェブ女史、デューイ博士やカーリントン氏などにかなり手助けされたようです。

Rieさんによる今回のレポートはこちらにあります。

『人類の最高遺産』第一部第六章「習慣的な思考が及ぶ肉体」

勉強会後半は『人類の最高遺産』から「習慣的な思考が及ぶ肉体」をおこないました。FM氏はこの章の最初に「……患者(patient)は言われたように作業することはできるかもしれないが、言われたように思考することはやろうともしないしおそらく不可能だ。(p.99)」と問題点を述べています。この問題は医療だけでなく教育などにも適用でき、もちろんアレクサンダーテクニークのレッスンでも同様と思います。言われたように作業できる人は現代でもいい患者・生徒だと言われることでしょう。

次に精神病院の症例で「なぜ狂気が発達するように促されているのか」というところでFM氏には推測したことがあり、「初めはおそらくわざとそうした態度を取って独りよがりな結果を得ようとしていたのであり……それを継続するうちに、初めはわざとしていた態度がそのうちに固定化された習慣となってしまい、その結果として、調整不能に陥ったのだ(p.100)」と、だから意識的調整をできるように求めていく際には「実際の行動に対する指示に先立って、精神的な態度を改めることが優先されなければならない。(p.100)」と言っています。

さて、表題「習慣的な思考が及ぶ肉体」とあるようにFM氏の実体験で「習慣的な思考が、肉体的に健全に回復する際の妨げ、というよりいかに巨大な邪魔となるか、私は思い知らされてきました。(p.107)」とありますが、ワークの中では習慣の大小に関わりなく気づきを持って認識するところから始まります。しかし、この章ではもしかしたら「体の使い方」だと、一部分を取り上げてそのような印象を受けるかもしれません。しかし「……偏見や先入観という習慣が心にあるから、我々は初めから邪魔されているとしょっちゅう気がつき、そうすると、すぐにこの偏見はいろいろな興味深い形式となって現れてくる。(p.117)」と、また先ほど引用した「実際の行動に対する指示に先立って……(p.100)」とあるように、結果としての行為や動作が習慣的な思考が及んで生じているならば、それを放って再教育はできないでしょう。

FM氏は「いろいろな努力で精神的な習慣を捕まえ調整するにあたり、以前からの惰性を克服することが全部の中で最初にぶつかるたった一つの真なる障害であるし……(p.122)」と述べています。この惰性を克服することは困難を伴う場合もあるでしょう。というのも「変化に含まれる行為は抵抗して習慣的な生き方に抗うことだ(アフォリズムから)」とFM氏は誰かのレッスンで述べたように、もし原因が人生上で習慣的に生じているものだとしたら、それを抑制し、新しく方向付けられた道筋で進んで行くことは大変だからです。最後にFM氏は「私は今のままで満足しています」と言っている方に二つのことを述べています、一つ目は皆さんは「習慣の奴隷」だと、二つ目に「子ども達はどうするのか」と(pp.122-123)。そういったFM氏の主張が教育における意識調整の必要性を教えてくれます。次回の勉強会は第一部第七章「民族文化と子どもの訓練」です。

人類の最高遺産
自己の使い方
第7回ATK中国地区勉強会
第7回ATK中国地区勉強会

お知らせ

アレクサンダーテクニーク教師会全体の勉強会は年に2回の開催ですが、中国地区では次回から毎月開催予定になりました。また、当教室では子どもの学校・ATJエスクールと意識的調整教師(アレクサンダーテクニーク教師)になりたい方・興味のある方向けのプレトレーニングワークショップも毎月第1日曜日(10/2・11/6・12/4)に開催しています。ご質問等あればお問い合わせください。

楽器博物館(RCM・RAM)

カテゴリー:記録 / タグ:ロンドン,旅行,歴史,音楽

王立音楽大学(Royal College of Music・RCM)と王立音楽アカデミー(Royal Academy of Music・RAM)の楽器博物館へ行きました。RCMはアルバートホールのそばにあり、学校の中に楽器博物館があります。しかし再建中だったため2019年以降でないと入ることはできませんでした。残念…。

さて、RCMではアレクサンダーテクニークの授業が導入されています。(Alexander Technique and Aural Classes | Royal College of Music)1949年にウィルフレッド=バーロー博士と博士の妻マージョリーがアルバートホールの近くに移り住んだ際、RCMの生徒のレッスンをしていたと、Research at The Royal College of Musicという記事で書いてます。そのときレッスンを受けていた生徒さんはシンガーだったそうです。細かい実験内容は論文を参照してもらうとして、当時の実験は一つのグループ50人のボランティアに協力を得てアレクサンダーテクニークの再教育をおこなったとあります。結果は「アレクサンダーテクニークを受けた生徒の身体的な使い方には改善があり、全国音楽コンテストで大きな成功を8名の生徒が得た。そのうちの6名がセミファイナルを抜け、そのうちの1名が勝者となった(Wilfred Barlow, More Talk of Alexander(ed. Wilfred Barlow, 2005), pp.204-210)」とあります。

アルバートホールアルバートホール
王立音楽大学(RCM)王立音楽大学(RCM)

楽器博物館は観れませんでしたが、電子化が現在されています。

RCMの博物館はあきらめてRAMの楽器博物館にいきました。Baker Street StationからRegemt's Park Stationへ向かう間にあります。

王立音楽アカデミー(RAM)王立音楽アカデミー(RAM)
王立音楽アカデミー博物館王立音楽アカデミー博物館

一階にはRAMの歴史と特別展がありました。RAMは英国で最も古い音楽学校になります。特別展はヴァイオリン奏者のユーディ=メニューイン氏でした。

ユーディ=メニューイン

二階は弦楽器の展示です。ストラディヴァリなど歴史的な弦楽器やパガニーニの肖像画など。三階はピアノの展示で17世紀からのものが見られます。家庭用・ステージ用と年代順に並んでいました。こちらは観光客がよく行くような観光地でもないのでほとんど入館者はおらず、ゆっくり観ることができました。二階・三階共に工房がありワークショップが開催されるようですが、その日は不在でした。

RAMでもアレクサンダーテクニークが導入されています。(Alexander Technique - Royal Academy of Music)ここではすべての学生が一年の間、個人レッスンを受講するようになっています。英国の多くの音楽学校ではアレクサンダーテクニークを導入されています。日本でも最近は音楽家の方に知られてくるようになったようで、講座なども開かれているようです。岡山では教室開講以来ずっと演奏家向けのレッスンもおこなっています。

次回こそはRCMの楽器博物館に…。

グローブ座

カテゴリー:記録 / タグ:ロンドン,旅行,研究

グローブ座(Shakespeare's Globe)に行きました。

St. Paul's Stationから降りて南に向かい、ミレニアムブリッジを通ってテムズ川を渡りました。

テムズ川テムズ川
グローブ座1グローブ座1

劇場は白い円筒型の建物になっています。シェイクスピアの多くの戯曲が初演されました。現在は当時の劇場を再現して建てられています。

グローブ座2グローブ座2
グローブ座3グローブ座3

観覧した演目は「マクベス」でシェイクスピアの四大悲劇の一つです。途中で観覧者が倒れるトラブルもありましたが、役者の方がアドリブで収めていました。今回は予約が遅くLower Galleryだったので、次回は観覧する機会があればYardで立ち見したいと思っています。結果的には良い席から観ることができました。

マクベスのプログラムをみるとスタッフの中に「Globe associate - Movement」と書かれており、アレクサンダーテクニークの教師がいることがわかります。イギリスではその他に演劇学校や音楽学校などで授業もおこなわれています。

プログラムプログラム

FM氏はオーストラリア時代、ロンドンに行く前のさよならツアーで「ヴェニスの商人」と「ハムレット」を公演し、氏の監督するトレーニングコースでもその二つの戯曲を練習生達は演じることになりました。それよりもっと前の朗誦家時代ではシェイクスピアの朗唱・一人芝居をおこなっています。さらにさかのぼって子ども時代だと、小学校に行かなくなったFM少年はロバートソン先生にシェイクスピアを教わり、演劇に興味を持ち始めました。

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