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今回から毎月行う予定になった勉強会です。『人類の最高遺産』第一部 第八章「進化の水準と1914年の危機に及ぼした影響」、『テクニークの真髄・アレクサンダーテクニーク、私はこのように観る』第三章「なぜ我らはテクニークを習得するのか」をおこないました。毎回少人数で議論と実践を研究しています。

2016.11.05 - 午前の部
2016.11.05 - 午後の部

F.M.アレクサンダー(アレクサンダー)の著作は『人類の最高遺産』、『建設的に意識調整するヒト』、『自己の使い方』、『いつでも穏やかに暮らすには』の四冊です。これらを発表している間に、新聞記事・冊子・講演などがいくつかありました。JMO=フィッシャー氏による編集で、この"Articles & Lectures"には未出版の原稿を含めた文章がまとめられています。しかし、アレクサンダーの発表した全ての文章が掲載されているわけではなく、いくつか抜けているものもあるようです。本書にある"Teaching Aphorisms"と"Autobiographical Sketch"は日本語版『人類の最高遺産』の付録として翻訳されています。

アレクサンダーテクニーク(AT)の創始者アレクサンダーのワークに関する歴史的な文章を読むことができますが、当該ワークを学ぶには4冊の著作で十分に思えます。しかし、アレクサンダーが書いたことに興味がある人にとっては、重要な作品集です。呼吸の教師から意識調整教師になり、ATの創始者となっていくまでにアレクサンダーがワークをどのように発展させてきたのかがわかると思います。

例えば広告記事、新聞記事、ポエム、版の違いの同じ記事など、本書に含まれていない文章も教室にはいくつか収集しています。

現在Mouritz社からCream版とWhite版が出版されており、Chream版には編集者による覚え書き・各文章の解説・注釈・インデックスがあります。White版にはそれらがありません。

今回のラジオテーマは「トレーナーコースを終えて」ということで、3年間のトレーナーコースを終えた心境や3年前からの変化について喋っています。

教師養成コースの概要はこちら

WTC Radio第八回「トレーナーコースを終えて」

FM=アレクサンダーの四作目で最後の著作"The Universal Constant in Living"は、1941年米国・1942年英国で発表されました。紹介文はG. E.=コギル教授が書いており、アレクサンダーの発見と自分の発見したアンビストマ科の全体パターンと部分パターンを関連付けて紹介しています。本書の導入を見ると、彼の中では『人類の最高遺産』、『建設的に意識調整するヒト』、『自己の使い方』の三冊でこの仕事を終えたと思われます。

前著『自己の使い方』を終えた私は自分を労いこう考えていた、私は当該主題である私の実践と理論に関してもう書く必要はないだろう、その理由は、詳細に解説してきた進化する私のテクニークとその応用を異なる領域の活動でしていくことについて書いてある、と今後は拙著の中でわかるからである。

F.M. Alexander, The Universal Constant in Living (Mouritz, 2000), p.XXXI

それでもいくつか誤解が生じているようで、本書の中でも用語など彼の原理について改めて説明し直しており、「私のテクニークは基盤に抑制を置いており…(F.M. Alexander, The Universal Constant in Living (Mouritz, 2000), p.88)」とあるように、特に「抑制(inhibition)」を強調しています。「抑制」は『人類の最高遺産』からずっと強調していることで、これがないまま「手段を吟味する(means whereby)」やり方をするのは彼の原理からずれることになるでしょう。本書では「改善された」「習慣的な」「新しい」「直接的な」「非直接的な」と付け加えながら、「end gaining(結果をすぐに得ようとすること)の原理 v.s. means wherebyの原理」の対立構造だけでなく、「means whereby」についての誤解を拭おうと、より詳細に解説しようとしています。そして本書は「恒常的に影響を与える使い方」や理論から実践に置き換えていくことを書いており、デューイが彼のワークに影響されたという理由がわかります。

……相互関係にある公共活動と技術的な哲学に関して彼[デューイ]の主張は、「……私の理論で心身・協調する能動的な要素を持つ自己・位置づけられた考えが抑制と調整される明示的な行為にあること、それらが必要とした繋がりとはFM=アレクサンダー氏のワークであるし、後年には氏の弟、AR氏とのワークである、これらの理論を実在に変換させるために要求された。……」
Schilpp & Hahn, The philosophy of John Dewey (OpenCourt, 1989), pp.44-45

ジョン=デューイは本書の紹介文を書きませんでした。アレクサンダーが1930年代のアレクサンダーテクニークに関するデューイとの科学研究をダメにしたこと、タスカーが南アフリカに行っている時期だったこと、第二次世界大戦に米国が参戦するかどうかの時期だったことなど、いくつか理由は推測されます。しかし、英国と米国を行き来していた時期にアレクサンダーはコギル教授とレッスンをしており、カーリントンによればコギル教授は「最高の生徒の内の一人(Walter Carrington, A Time to Remember , The Sheildrake Press, 1996)」ということ、そして本書の中でアレクサンダーは自分のテクニークを著名人が称賛した文章を引用しているのを見ると、彼は科学的な物言いの力を借りたかったのかもしれません。

アレクサンダーと交流が少なくなっていったデューイは、米国に渡った弟のA.R.=アレクサンダーとワークを続け、フランク=ピアス=ジョーンズが教師養成訓練に参加しようとするときにも励ましの返事を送り、第二次世界大戦中に米国に滞在していたアレクサンダーに生徒も紹介していました。1941年に出版された本書は著者本人からデューイへ送られており(Jo Ann Boydston (Com.), John Dewey's Personal and Professional Library: A Checklist (Southern Illinois University Press, 1982),p.2)、ある時点で彼らの仲は修復されたようです。

現在入手可能なものは、Mouritz出版のCream版とWhite版があります。まずCream版には編集者の紹介文があり初版からの変更点などの紹介、付録には書評とインデックスがあります。White版には付録もインデックスもなく1946年版のアレクサンダーが最後に手を加えたものに近い状態で出版されており、Cream版よりも安価になっています。これらはMouritzから購入可能です。日本語版は現在、ATJ翻訳チームにより翻訳中となっており、2018年には出版予定です。

"The Use of the Self"は"Man's Supreme inheritance"、"Constructive Conscious Control of the Individual"に続くFM=アレクサンダーの三作目の著作です。日本語では『自己の使い方』です。前の二作に続けてジョン=デューイが紹介文を書いています。1931年にアレクサンダーの監督下で教師養成コースが開設、同年にMethuenから米国で『自己の使い方』の初版が発表、その付録に教師養成コースに関する公開書簡が掲載され、1932年に英国・米国共に本書を発表(Staring氏によると、1931年版はおそらく友人やレビュワーのために繰り上げて刷られたものだと思われる。2016年12月4日付のメール通信から)。この辺りの時代を考えると、本書は練習生にとっても非常に重要だと思われます。アレクサンダーの著作の中では、一番薄くて読みやすいことからアレクサンダーテクニーク(AT)教師から練習生や生徒に読むように勧められる機会が多く、当時も最初にレッスンに来る生徒さんへ読むように、よく勧められたようです。

第一章には、アレクサンダーが原理を発見した過程が書かれています。彼の陥った問題から始まり、原因の追及、繰り返される観察と実験、最終的に自己の使い方が変わっていく手順が書かれています。FM氏の場合は「声が出ないこと」が問題点でしたが、どんな人でも置き換えて実験可能です。いくつのか資料から推測すると失声の問題自体は2~3年ほどで解決していたようです。第二章では感覚的評価との関連で使い方と機能について述べています。彼はこの主題について"Constructive Conscious Control of the Individual"で詳しく解説しました。第三章と第四章は主にケーススタディとなっており、ゴルファー氏と吃音の人について書かれています。最後の第五章の「診断と医学的な訓練」では医学と当該原理の教育の差などについて書かれています。彼は著作全体にわたって"psycho-physical organism"(心身有機体)という用語をよく使っており、心身は分離できないもの・相互関係にあるものだと言っています。

本書は一度ワークを受けた方には自習教材になります。これからワークを受けようとお考えの方も読むと参考になるかもしれません。

現在入手可能なものは、Orion出版の"The Use of the Self"、晩成書房出版の『自分のつかい方』、Alexander Technique Japan(ATJ)発行の私家版『自己の使い方』があります。Orion版には第一世代教師のウィルフレッド=バーロウの紹介文があります。『自分のつかい方』はOrion版を原本にしており、バーロウの紹介文の翻訳も載っています。『自己の使い方』には第一章の解説とアレクサンダーテクニークで使われる用語集が付いており、紹介文は1984年Centerline Press版の"The Use of the Self"にあるマージョリー=バーストー(アレクサンダーの姪)が書いたものです。

私家版『自己の使い方』はATJのテキストセット(Just Use Naturally "TEXT SET")に含まれており、お求めの方はATJ各教室に問い合わせるか、こちら(ATJテキストセットのご案内)から購入ができます。

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