意識的調整実践センター

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The Use of the Self

"The Use of the Self"は"Man's Supreme inheritance"、"Constructive Conscious Control of the Individual"に続くFM=アレクサンダーの三作目の著作です。日本語では『自己の使い方』です。前の二作に続けてジョン=デューイが紹介文を書いている。1931年にアレクサンダーの監督下で教師養成コースが開設、同年にMethuenから米国で『自己の使い方』の初版が発表、その付録に教師養成コースに関する公開書簡が掲載され、1932年に英国・米国共に本書を発表(スターリン氏によると、1931年版はおそらく友人やレビュワーのために繰り上げて刷られたものだと思われる。2016年12月4日付のメール通信から)。この辺りの時代を考えると、本書は練習生にとっても非常に重要だと言える。アレクサンダーの著作の中では、一番薄くて読みやすいことから教師から練習生や生徒に読むように勧められる機会が多く、当時も最初にレッスンに来る生徒さんへ読むように、よく勧められたようだ。

第一章には、アレクサンダーが原理を発見した過程が書かれている。彼の陥った問題から始まり、原因の追及、繰り返される観察と実験、最終的に自己の使い方が変わっていく手順が書かれている。FM氏の場合は「声が出ないこと」が問題点だったが、どんな人でも置き換えて実験可能である。いくつのか資料から推測すると失声の問題自体は2~3年ほどで解決していたようだ。当時の新聞記事を見ると表舞台に出なくなってから数ヶ月で復帰している。第二章では感覚的評価との関連で使い方と機能について述べている。彼はこの主題について"Constructive Conscious Control of the Individual"で詳しく解説した。第三章と第四章は主にケーススタディとなっており、ゴルファー氏と吃音の人について述べた。最後の第五章の「診断と医学的な訓練」では医学と当該原理の教育の差などについて著す。教育的手法であるこのワークと治療との違いを認識できるだろう。彼は著作全体にわたって"psycho-physical organism"(心身有機体)という用語をよく使っており、心身は分離できないもの・相互関係にあるものだと言っている。

・・・「精神的」問題か「肉体的」問題か、どちらかひとつに診断でき、治療にあたっても、「精神的」か「肉体的」か、どちらか決定した線に沿えばそれでよしと思い込んでいた。しかしながらその後、この思い込みを放棄せざるを得ないところへ自らの実践と体験で導かれていった。

F.M.アレクサンダー (2019)『自己の使い方』、風媒社、pp.38-39

本書は一度ワークを受けた方には自習教材として利用できる。これからワークを受けようとお考えの方も読むと参考になるだろう。

現在入手可能なものは、Orion版とOrion Spring版(2018)の"The Use of the Self"、晩成書房出版の『自分のつかい方』、風媒社の『自己の使い方』がある。Orion版には第一世代教師のウィルフレッド=バーロウの紹介文があり、晩成書房出版『自分のつかい方』はOrion版を原本としてバーロウの紹介文の翻訳が掲載された。風媒社版『自己の使い方』には第一章の解説とアレクサンダーテクニークで使われる用語集が付いており、1984年Centerline Press版の"The Use of the Self"にあるマージョリー=バーストー(アレクサンダーの姪)による紹介文が掲載された。アレクサンダーの著作すべての翻訳はFM書店から利用可能だ。