ワークについて - 2021年10月24日 04:08

意識的調整実践センター

ワークについて

意識調整は、オーストラリア出身の俳優F.M.アレクサンダー氏が発見した意識を用いて自己調整する手法です。日常生活にある心身の習慣に気づき、それを見直します。問題の原因を探り、原因が少しずつ減るやり方を学べます。

意識調整

・・・私の主目的はすなわち、人類の知的な能力を拡大することであり、そうして我らは意識的な調整(conscious control)をする方向へ成長する。

F.M.アレクサンダー in 人類の最高遺産

レッスンでは、まず自分自身のしている不必要な習慣を認めることが必要になります。習慣というのは無意識のうちに繰り返している行為のことです。身体的な行為だけではなく、考え方・嗜好・階層・社会・職業・性別・人格・暮らし方など、心身全般に現れます。習慣的な行為に気づくためには、今までのやり方と新しいやり方を比較実験しながら教師と一緒に調べていきます。

原因がわかれば、不必要な習慣的にしていることを抑制する練習になります。習慣は刺激に反応して即座に現れます。抑制するには習慣が起こるずっと前から意識的に予防すること(やらないこと)を学びます。レッスンの初期は教師の手助けにより習慣に「気づいたら」やめる段階です。訓練が進んでいくと、原因となる習慣的な行為を「初めから」やらず(抑制・予防)に、新しいやり方で計画を組み立てるようになります。

一方で「楽な感じ」や「自然な感じ」、「不自然な感じ」や「不快な感じ」で即座にワークを評価すること(感覚的評価)が邪魔になります。「感じ」はある状態から別の状態へ変わったことを知覚したものです。個人差があります。頑張りすぎていた人にとっては「楽になった」と感じるかもしれないし、だらけていた人にとっては「頑張っている」と感じるでしょう。そうなると、習慣を長年の間やっていれば、それがたとえ機構的に不利な使い方となっていても「自然に」感じませんか。

考え方が異なります。話を聞くだけではわかりにくい・理解できない「気分」になります。本を読むだけでも同様です。これまで積み重ねてきた他のワークや知識や経験が役に立たないばかりか、邪魔をしてしまう場合もあります。変な感じや気分が起きても即座に判断することをやめて、最後まで話を聞き、実体験してみてはいかがでしょうか。

実際に問題解決へ向かうには、自己を使うところで予防的に今までのやり方を抑制し、抑制を継続しながら新しい方向へ進みます。それをひとつ、ふたつ、みっつ・・・と段階を踏んで指示を継続しながら組み立てていきます。そうやって訓練していくと、自分自身が自分の教師となって手段を吟味しながら暮らしていけるようになります。

原因がなくなれば問題(結果)もなくなります。そうなると心身の調整能力も取り戻せます。まずはお試しレッスンから新しいやり方で心身が統合する方法を学んでみませんか。

私達は能楽を初めて味わいました。・・・言葉にしにくいことですが、根源的な魅力は完璧なテクニークを考えずにして語れません。意識調整は確かに日本で生まれ育まれました。

J.デューイ in Letter from China and Japan, E. P. Dutton, pp. 53-54.

今では忘れ去れているかもしれませんが、哲学者のジョン=デューイは日本人の所作にアレクサンダーのワーク「意識調整」の原理を観ました。私達の生活に取り戻してみませんか。「意識調整」に言及したデューイの手紙は他にもあります。

個人・グループレッスンは随時受け付けております。通常レッスンの他に子どものコースと教師養成コースを用意しています。マインドモデリング(高速学習法)音楽ワークもあります。定期的なワークショップも開催中です。イベントから開催日を確認してご予約ください。

教科書

学ぶための教科書と豊富な資料(参考資料)を用意しています。1レッスンはアレクサンダーの著作を基礎に置いています。ワークの学習者は必読です。

  • 『人類の最高遺産(Man's Supreme Inheritance)』
  • 『建設的に意識調整するヒト(Consctructive Conscious Control of the Individual)』
  • 『自己の使い方(The Use of the Self)』
  • 『いつでも穏やかに暮らすには(The Universal Constant in Living)』

ATJの本はオンラインショップまたは教室で購入可能です。

FM著作集

F. M. アレクサンダー

F.M.アレクサンダーは俳優として致命的な失声から復帰し、公演を続けながらも徐々に俳優業から教育業に移行しました。オーストラリア時代(1894年~1904年)は主に呼吸法と演劇法を教えました。主な生徒には俳優仲間や医師、医師から紹介された患者がいました。1904年に渡英後、熱心な医師の支持者が見つかり、同時に演劇界でも注目を浴びるようになります。世界大戦中はアメリカに避難し、アメリカでも生徒と支持者を増やしていきました。2イギリスの医師やアメリカのアカデミックな現場で働く支持者らは評論や論文を発表し、公に紹介しました。

F.M.アレクサンダーについて著者から許可を得て伝記の概要を翻訳しました。

アレクサンダーテクニーク

もちろんアレクサンダーテクニーク(AT)で言われる頭と首と背中の関係性も大事です。しかし、そんな関係性を生じさせるそもそもの原因を探り、予防することが重要事項です。そうなると、これまでの暮らし方や考え方を変えざるを得ません。

F.M.アレクサンダーのワークが「アレクサンダーテクニーク(AT)」3と呼ばれ始めてずいぶん経ちました。単にアレクサンダー氏の技法として彼のワークを表していた名称だったはずが、現在では「アレクサンダーテクニーク」と聞くと、多数ある代替療法、ボディーワーク、体(身体)の使い方、姿勢術(法)のひとつとして認識されています。しかし、アレクサンダー自身は単に「ワーク」や「テクニーク」と言い表しました。

ATの流れは、大まかに捉えると英国と米国があります。日本ではアレクサンダー本人の教えよりも、彼のところで学んだ第一世代の教師達4の教えが大事にされています。1950年代後半にアレクサンダー本人の著作は絶版になりました。現地では在庫の販売、図書館、古書店等でも入手できたと推測できます。しかし、1980年代に復刻し、2000年初頭に全著作の復刻が完了するまで、国内外で簡単に入手することはできませんでした。当然、日本は翻訳もありません。F.M.アレクサンダー著作集としてアレクサンダーテクニークジャパン翻訳チームが訳し、2019年には全てが日本語で読めるようになりました。

アレクサンダーの著作が絶版中でも教師養成訓練は継続されました。つまり、彼の著作を読んだこともない教師が誕生するようになったのです。仮に訓練当時に読んでいたとしても、自身が教師やトレーナーとなってからは生徒や練習生にアレクサンダーの著作を「難読・難解」だと言って、まるで読まない方がよく学べるかのように勧めている場合もあります。5多数のAT教師が当該ワークを何か洗練した身体技法のように宣伝して矮小化しています。アレクサンダーの著作を読めば彼のワークとの差は歴然です。

レッスンをする教師はATJ翻訳チームに参加しており、日本語版製作に関わりました。質問があれば実践を含めてお伝えします。また、継続的にアレクサンダーとワークの歴史や手法を研究しています。意識調整は問題解決に向けて心身の諸問題に対応できます。


  1. 日本語版はFM書店から購入できます。『人類の最高遺産』『建設的に意識調整するヒト』『自己の使い方』は紙版があります。『いつでも穏やかに暮らすには』は電子書籍(Kindle版)のみです。こちらから購入できます。 ↩︎

  2. 著名な支持者には、教育学者ジョン=デューイ、作家オルダス=ハクスレー、劇作家ジョージ=バーナード=ショー、ノーベル賞を受賞した解剖学者ジョージ=E.コギルなどがいます。 ↩︎

  3. アレクサンダー・テクニーク、アレクサンダー・テクニック、アレキサンダー・テクニックなどヴァリエーションがあります。古いものでは、アレグザンダァとの表記も見つけました。 ↩︎

  4. 当時の教師養成コースは1931年に始まりました。日本に輸入されたATはP.J.マクドナルド氏、M.バーストー女史の流れが多数あります。 ↩︎

  5. 実際にアレクサンダーの著作を一冊も読んだこともなければ、著作名も知らない教師に出会いました。その教師は同じ現場を同じようなやり方で2度も無断退職しており(私も同じ現場で働いていました)、もはや教師養成コースを卒業してもアレクサンダーテクニークには習慣を取り扱う技法が残っていないのかもしれません。 ↩︎